「気にしない生き方」

 ゲーテの格言を紹介した本を読んでいると、「商売のコツ」についての言葉がありました。
「商売のコツは市場に行けば、一目瞭然だ。売れている店は、他の店のことなど見向きもしない。自分の店の商品のよさを大声で売り込んでいる」
 良寛さんも、ある人から金持ちになる方法を教えてほしいとお願いされると、「他人のことは気にせず、自分の仕事をまじめにやれば、金持ちになれる」と答えたそうです。

 人間だから、人からよく思われたいと思うのは当たり前ですが、人目が気になりすぎ不安になると、動きがにぶってしまいます。
 せっかくいいところがたくさんあるのに、人目を気にし過ぎて、自分らしさを失ってしまうのはもったいないことです。

 短所ばかりだと思っている人もいるかと思いますが、短所と長所は裏腹の関係です。
 神経質だという欠点は、繊細だという長所です。
 コップ半分の水も、まだまだ半分あると思うことも、もう半分しかないと思うこともできます。
 病んで失うだけの人もいれば、病んで得る人もいます。
 1万円のお金で満ち足りる人もいれば、1億のお金でも不足を感じる人がいます。

 人が窮地に追いやられたときに、どのように生きるか。
 神や仏から、人間としての試験を受けているようなものかもしれません。
 
 人間、気持ちの持ち方一つで、幸せな気持ちにも不幸せな気持ちにもなります。
 ちょいと視点や、ものの見方を変えてみることも大切です。

 なげき悲しむもよし、ニコニコするのもよし、ひょうひょうと受け流すもよし、右往左往するもよし、人目など気にして、自分らしさを失わないことです。
 萎縮して実力を発揮できないのは、もったいない話しです。


 わが師(紀野一義)の生き方の基本は、肯定肯定絶対肯定(ええなあええなあええなあ)という生き方です。
 このような生き方も世間からは傲慢だとか色々と非難されることもあります。
 その非難に、腹立つこともありますが、それは、まだまだ私という人間ができていない証です。
 そういった非難も、軽く受け流して、わが道をこつこつと歩きたいものです。
 
 今は亡き、わが師の教えです。
 いかに生きていけばよいのか、わからなくなったときのよりどころとしています。

   心ひろびろと、さわやかに生きん。
   真理をもとめてひとすじに生きん。
   おおぜいの人々の幸せのために生きん。