2023.10  量子論は東洋思想に似ている

 

 昭和30年~40年代のことであろうと思います。

NHKの取材で、デンマークの作家と朝比奈宗源老師が禅について対話しています。

その作家がいやに、禅について詳しいので、その理由を朝比奈老師がたずねたところ、デンマークでは毎日のように、新聞テレビ雑誌で禅についての話が語られているとのことでした。

デンマークはキリスト教の国ですが、聖書に書かれたことは全て真実だという教えには、学者や作家など真実を追求している立場の人間からすると、どうしてもついていけないというのです。

そしてデンマ-ク人で、量子論でノーベル物理学賞を受賞したボアという理論物理学者が「量子論は東洋思想に似ている」と言ったのだそうです。

そういうこともあって、デンマークでは禅が特にブームになったらしいのです。

現在のデンマークが、どのような状況かは知りませんが、そんな時代もあったのです。

 

 般若心経も相対性理論がわからないと理解できないと言った人もいました。

 

 仏教は意外と哲学的、理論的です。

 

 苦しみ悩みも、その原因が何であるか、では、どうすればいいのか懇切丁寧に説明しています。

 

 基本的に大切な教えは、無欲であり、無執着あり、無所有です。他にも色々あるでしょうが、この3つの内、一つでも成就したなら、苦しみ迷い悲しみもなくなり、悟りも得られるではないかと思います。

 

 私も、皆さんも、欲にからまれ執着するものがあり、色んなものが欲しい。

 

 私は、執着しないということを、自分に言い聞かせているのですが、なかなか、徹底することは難しい。

 

 だから苦しんでも、仕方ないと思います。苦しみながら、悩みながら生きていくのだと思います。

 

 しかし、仏の教えやすぐれた仏教者の教えには、よりよく生きるためのヒントがたくさんあります。

 

 私は道元の正法眼蔵を読み、親鸞の歎異抄を読み、良寛の漢詩集を読み、紀野一義先生の書物を読み、人間いかに生きるのか、自分はどのように生きるのか、試行錯誤しています。

 

 現代に生きる人に、よりよく生きるためのヒントは、投げかけていきたいと思います。

 

自未得度先度他(じみとくどせんどた)、自分より先に他人を悟りの世界に導け。自分が悟っていなくても他人をまず悟らせろ。このようなことを、道元禅師や紀野先生はおっしゃっています。 

 

 

 

今は亡き、わが師(紀野一義先生)の教えです。
いかに生きていけばよいのか、わからなくなったときのよりどころとしています。

 自誓

   一、 心ひろびろと、さわやかに生きん。
   一、真実をもとめてひとすじに生きん。
   一、おおぜいの人々の幸せのために生きん。